東洋医学では食品に「陰陽」の考え方があります。
病気=バランスが崩れた状態
と言えるので、陰陽の考え方もまた一つの視点として持っておいて損はありません。
大事なのは、「一つの絶対的な理論」より「いろんな視点」を手に入れること。陰陽もまたその一つ。そうすることで世界をよりクリアに見ることができるので、間違うリスクを減らせます。
「陽性」「陰性」「中庸」の食べ物
陰性の食品は体を冷やし、陽性の食品は体を温める効果があるとされています。
また、陽性にも陰性にも属さない「中庸」の食べ物もあります。
陰陽食品の分類方法
陰と陽はこれらの基準によって分けられます。
陽性の食べ物 | 陰性の食べ物 |
寒い季節、寒い土地でとれるもの | 暑い季節、暖かい土地でとれるもの |
水分が少ない | 水分が多い |
土の中で育つもの | 土の上で育つもの |
タンパク質・鉄分が多く造血作用がある | 水分を排泄し体温を下げる |
ナトリウムが多い | カリウムが多い |
固い(凝縮してる) | 柔らかい |
発酵している | 精製されて不純物が除かれたもの |
この中のどれか一つでも当てはまれば、陽性あるいは陰性と言えます。
では何をもって陽性・陰性決めているのか?
食品を陰陽に分ける基準の中で、一番説得力があるのが「ナトリウム」と「カリウム」での区別方法です。
陰性 → カリウムが多い
陽性 → ナトリウムが多い
ウィキペディアにも次のように書かれています。
『wikipedia マクロビオティック』
桜沢は左玄の陰陽論をヒントに、食品を「陰性」「中庸」「陽性」に分類することを追求した。
産地の寒暖や形而上の特徴から牛乳・ミカン類・トマト・ナス・ほうれん草・熱帯産果実・カリウムの多いものなどを「陰性」とした。
玄米・本葛粉(他のデンプンを混合した物は、「中庸」ではない)は「中庸」、塩や味噌・醤油・肉などナトリウムの多いものは「陽性」とした。
では何故、70種類以上あるミネラルの中で「カリウム」と「ナトリウム」を基準に理論を展開するのか?
細胞は電解質(ミネラル)の環境を好む
人間は約37兆個の細胞によって構成されています。
そして皆さんお馴染みのミトコンドリア(発電器官)は、1細胞中に平均300~400個も存在しています。
細胞もミトコンドリアも、電解質(ミネラル)の環境を好み、pH7.35以上の弱アルカリ性でなければ、活動不能に陥りやがて死んでしまいます。
つまり、
人間が元気に活動するためのキーになっているのが、電解質(ミネラル)なのです。
電解質とは?
物質を水に溶かしたときに電気を通す物質を電解質という。
生理学上で重要になる電解質のイオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩素、リン酸、炭酸水素です。
「細胞内液」と「細胞外液」に含まれているミネラル(電解質)の割合
人間の体液には、細胞の中にある「細胞内液」と、細胞の外にある「細胞外液」があります。
下の表を見れば分かるように、細胞内液と細胞外液の、ミネラルの割合は全然違います。
■ 陽イオン
mEq/L | 細胞外液 | 細胞内液 | |
血漿 | 組織間液 | ||
ナトリウム | 142 | 144 | 15 |
カリウム | 4 | 4 | 150 |
カルシウム | 5 | 2.5 | 2 |
マグネシウム | 3 | 1.5 | 27 |
■ 陰イオン
mEq/L | 細胞外液 | 細胞内液 | |
血漿 | 組織間液 | ||
塩 素 | 103 | 114 | 1 |
炭酸水素塩 | 27 | 30 | 10 |
リン酸 | 2 | 2 | 100 |
硫酸塩 | 1 | 1 | 20 |
有機酸 | 5 | 5 | ー |
タンパク質 | 16 | 0 | 63 |
「陽イオン・陰イオン」とは?
原子から電子が取れると陽イオンに、原子が電子を取り込むと陰イオンになる。
細胞が正常に働くには「細胞内外の濃度」を安定させ、浸透圧を一定に保つ必要があります。
「ナトリウムは細胞外」「カリウムは細胞内」の浸透圧を調整している
細胞内のナトリウムやカリウムなどの濃度が高くなれば、濃度を薄めようと細胞外から水が侵入し、細胞は膨らみ、最終的には破裂してしまいます。
また、細胞外の濃度が高くなれば、細胞内から細胞外へ水が抜けていき、細胞はしぼんでしまいます。
つまり、ナトリウムとカリウムは共に、細胞内外の浸透圧を調整し、細胞の大きさを正常に保持してくれています。
ナトリウムとカリウムは共に作用し合いながら、以下の重要な役割を担っています。
・細胞の浸透圧の調整
・細胞内外の水分調節
・血液循環の量のコントロール
・血中のpHを制御
・神経伝達(反射機能、筋肉収縮)
以上のことから、「ナトリウムを陽性」「カリウムを陰性」と区別しているわけです。
「冷やすもの」→「温めるもの」に転化可能
真っ白な牛乳は身体を冷やすものに分類されますが、発酵させると、固いチーズになり、身体を温める食べ物へと変化。
きゅうりも塩を加えて水分を減らし漬け物にすれば陽性食品に変化。
陽性食品 = 塩、発酵、水分が少ない、タンパク質・鉄分が多い
このように、身体を冷やす物も調理法を変えれば、温めるものに変わります。
白く柔らかい冷奴に、生姜や塩分を含む醤油をかけたり、トマトやスイカに塩を振って食べるのも、身体を冷やし過ぎないようにするための昔からの知恵なのです。
「旬のものを食べなさい」は理に適ってる
夏にとれる物は陰性なので、体にこもった体温を外へ逃がす作用があります。
冬にとれる物は陽性なので、冷えた体を温める作用があります。
つまり、真冬に南国のものばかり食べることは、明らかに不自然なことなのです。
アイスとか。
真冬に減塩とかもありえない。
まぁこのように、ちゃんと深い意味があって言われてきた知恵であって、老人がなんとなく「旬のもの食え!」と言ってるわけではなかったわけですね。
陰陽論を「体質」に当てはめる
・陰性体質
・陽性体質
・中庸体質
食事だけでなく体質についても、この3つに区分けすることができます。
おもな特徴はこちらです。
陽性体質の特徴 | 陰性体質の特徴 |
体温高め | 冷え性 |
脈拍が早め | 脈拍が遅め |
血圧は高め | 低血圧 |
外向的 | 内向的 |
攻撃的 | 防御的 |
朝型 | 夜型 |
男性的 | 女性的 |
運動好き | 運動苦手 |
深い思慮苦手 | 空想、ぼんやり |
筋肉がつきやすい | 筋肉に締まりがなくブヨブヨ型 |
アウトドアやスポーツ派 | インドア派 |
集団的(独りだけの時間を「寂しさ」と感じ取りやすい) | 個人的 |
頭よりも肉体を頻繁につかう | 肉体よりも頭を頻繁につかう |
積極的 | 消極的 |
声大きい | 声小さい |
ヤケになりやすい | 落ち込みやすい |
すぐカッとなる | 冷静沈着 |
楽観的 | 心配性 |
極陽性体質なら、短命 | 体調不良の日々多いが比較的、長生き |
ご覧のとおり、なんとな~くイメージできるかと思います。まぁ、ざっくりで結構です。
この表をみると分かると思いますが、体質改善は食事だけに限らず、普段の行動やちょっとした考え方など、これらの修正によって、陰から陽へ、陽から中庸へ、体質改善がいくらでも可能です。
食事だけで自分を変えるのは難しいです。
陰と陽 2つでセット
自分はどちら側に寄っているのか?
それを確認するためのツールとして、陰陽の理論を使っていくべきです。
「冷え性」という症状は、陰性食品と陰性生活の積み重ねによって現れた結果です。
だからといって陽性ばかりの食事をとるのではなく、あくまで陰と陽は2つでセット。食事と運動も2つでセット。
つまり、あらゆるバランスを意識しつつ体質改善に努めることが重要です。
最強の陰性食品「白砂糖」
甘い物といえば、「砂糖」ですが、なかでも精製された白砂糖は、最強の陰性食品といえます。
最近では、甘い物や、冷たいデザート、パンなどが若い人を中心に人気ですが、これらの食べ物には大量の「白砂糖」が使われています。もちろん、ジュースにも使われています。
おかげで陰性体質(低体温)の人間が凄く増え、減塩運動とのWパンチによって、ガン患者が量産されてしまいました。
だからといって、「甘い物を食うな!」とは言いません。(僕も甘いの好きですから)
そのかわり、陰に対しては陽なので、なるべく「良質な」陽性食品をとるべきです。
最高の陽性食品「塩・みそ・醤油」
白砂糖に対抗するには、この3つを上手く使っていくしかありません。
とくに、味噌と醤油は発酵食品で、かつ天然塩も使用されているので理想的といえます。
ひとつ注意点としては、安すぎる「塩・みそ・醤油」は避けたほうがいいです。
なぜなら、それらの商品は陽性どころか、陰性の可能性があるためです。
詳しくはこちらの記事をどうぞ
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